フルチアセットメチル(KIH-9201)の発見経緯

フルチアセットメチル(KIH-9201)フルチアセットメチル(KIH-9201)  1983年我々はPROTOX阻害剤に属するイミド化合物の探索研究をしていたが、なかでも、活性の高いチオウラゾール体に着目した。

 その合成検討の中で、最初の計画にはなかった新規なイソチオウラゾール体を発見した。
三菱化学の研究者に後から知らされたことだが、彼等はイソチオウラゾールではなくイソウラゾールの合成を目指していた。イソウラゾールはすぐに転位反応がおこりウラゾールに変換してしまったそうである。

 その後彼等はイソチオウラゾールの合成は試みなかった。
このイソチオウラゾールは活性の高いチオウラゾールのプロドラッグであることは最初から予想されていたが、その後さらにクミアイ化学生物科学研究所の薬理研で研究が進められ明らかになった。

 その為に活性体であるチオウラゾールに比べて高い選択性を実現した。
この骨格を見つけた後、2年間は水田剤を目指して展開を行った。

 そして1985年水田剤としてKIA-750の圃場試験が実施された。 しかしその結果は惨澹たるもので試験区によっては薬害がひどく、またホタルイにはほとんど活性がなかったこともあり、さながらホタルイ畑のようになっていた場所もあった。しかしちょうどその頃、住友化学の特許の中に茎葉処理剤を目指した化合物群の特許が公開された。

フルチアセットメチル(KIH-9201) そこで茎葉処理剤にターゲットを替え、変換を開始した。しかし水田の結果により、このような接触枯れを示す剤の中で選択性の高い化合物が存在するのだろうかという疑問の声も多かった。

 1986年茎葉処理剤を目指した化合物の中で、代表化合物KIA-3649が選抜され、国内圃場試験が行われた。結果は大雨の影響もあって、活性も弱く、薬害もかなり確認され、比較のブレーザーに比べてメリットはなかった。

 一方、同時に海外圃場試験を行った結果では、日本に比べて良い結果を得ていたが製造コストを考えた場合、もう1ランク活性を上げる必要があった。期待した結果は得られず、1987年春、最後の詰めということで数点合成して終了することにした。

 その最後の化合物の中にKIA-3649より活性がアップしたKIA-9201があった。
即ちダイズ、トウモロコシの茎葉処理剤アクションを見出したのである。

 この化合物の特徴は、ダイズ、トウモロコシなどの難防除雑草であるイチビに対して4~5g/haという低薬量で生育中期に至る高葉齢でも高い効果を示すことにある。

 イソチオウラゾール骨格を見出した後、KIA-9201に辿り着くまでに3年近くを要してしまった。その原因として、最初に水田剤にタ-ゲットを置いたことや、茎葉剤としての力価を過小評価していたことなどがあげられる。

 また活性面では不十分であったにもかかわらず、KIA-3649を海外圃場試験にかけたことが本剤開発のターニング・ポイントになったと思われる。

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