フェノキサスルホン(KIH-1419)の発見経緯

フェノキサスルホン(KIH-1419)フェノキサスルホン(KIH-1419) フェノキサスルホン(KIH-1419)、ピロキサスルホン(KIH-485)はイソキサゾリン系除草剤であり、その研究は1998年に合成されたKIE-4001に端を発している。

 イソキサゾリン系(KIE-4001系)除草剤は、当初トウモロコシ用土壌処理剤を目指し、イソオキサゾリン環部位、アリール部位について様々な変換を行った。その過程で幾つかの化合物が、ポット試験において市販剤以上の高活性・高選択性を示す事が確認され、アメリカMRS圃場で試験に供された。しかしアリール部位がフェニル環の化合物は、圃場試験では活性の著しい低下が認められ、その後の検討は中止となった。そこで活性が低下した原因を検討したところ、アリール部位に置換フェニル基を導入した場合は土壌への吸着が強くなり、植物体に吸収される量が少ない為に活性が低下する事が分かった。

 この一連の研究を通じて、土壌を介する場合の活性発現には化合物自体の土壌吸着性が大きく寄与する事、また土壌も様々な種類が存在し、それぞれの挙動も違うという新たな知見を得る事ができた。

フェノキサスルホン(KIH-1419) 土壌吸着の強いフェニル誘導体の適用場面を考察したところ、水田場面での使用の可能性が考えられた。基本的な活性傾向については土壌処理剤の時と同様であったが、フェニル環のオルソ位にアルコキシ基、特にエトキシ基を導入した化合物群に水稲への選択性が見られた事から、フェニル環の置換基をエトキシ基中心に展開を行った。置換基、置換位置を種々検討する中で、2-エトキシ-5-クロロフェニルを有する化合物が選択性は不十分であったが、市販剤に優る活性を示した。そこでこの化合物の物理化学性を市販剤と比較すると、土壌吸着性、logP共に小さく、水稲用除草剤としては更に物理化学性の改善が必要である事が判明した。選択性の上昇、活性の向上、物理化学性の改善というハードルをクリアする事を目指し、更なる置換基導入による展開を行った。

 当初、フェニル環の置換位置としては2位にエトキシ基を固定し、5位、6位へのアルコキシ、メチル、クロロなどの導入を行っていた。しかしイネに対する安全性が不十分であり、期待される性能を示す事はなかった。しかし2,5-ジクロロフェノールのヒドロキシメチル化反応を行うと、本来の目的物ではない2,5-ジクロロ4-ヒドロキシメチルフェノールのみが合成できた。このフェノールから誘導されたものがフェノキサスルホン(KIH-1419)である。フェノキサスルホンは低薬量で優れた除草効果を示し、その物理化学性より十分な残効性を有し、水変動に強く、環境への影響が少ない剤である事が確認された。

 以上のように、土壌の性質及び化合物の物理化学性に着目し、独自骨格であるイソキサゾリン系除草剤のフェニル環の置換基変換を行った結果、水稲用除草剤として優れた性能を有するフェノキサスルホンを見出した。

 フェノキサスルホンは「安全で環境負荷の少ない水稲用除草剤」なのである。

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